March 03, 2015
Shakespeare 1975 & 1969B & Ted Williams Ⅳ
「フリースプール」 というカテゴリー
・・・その昔 スプールとハンドルの回転が常に連動した ” ダイレクトリール ” の時代.
ルアーをキャストすればハンドルもグルグル回る. そんなリールでぶん投げて わたしは怪我をしたことがある.
激しく回転するハンドルが 指の皮をえぐり取る・・・ 昔のアングラーも そんな経験をしていたのかも知れません.
やがて 「ハンドルが一緒に回転しないリールを作ろう」 そんな発想から誕生したのが フリースプール機.
ダイレクトリールからベイトリールに変わる過渡期のスタイルで 遠心ブレーキなし. メカニカルブレーキだけ.
※マグネットブレーキは 実はダイレクト時代に実用化されていました. モデル名 忘れちゃったけど.
最初はハンドルを連動させないことを目的に作られました. 回転の伝達をハンドル軸上で遮断するタイプ.
やがては現在と同様に スプールを単独で回すスタイルに変わります. ってことで 「フリースプール」.
少々ビミョーなカテゴリーなんですよね. 「ダイレクトじゃないダイレクトリール」 みたいな. 使う人も少数派.
釣り場で使っている人とか見たことありません. あなただって持ってないでしょ? 現物を見る機会も少ない.
わたしもね 最初は間違えて買っちゃったんですょ. 中を見たら ブレーキがなんにも無くてびっくりした.
サーフリールの小型版みたいな・・・ キャスコンがち締め & サミング必須 みたいな?
でも 今はすごく気に入ってて 右ハンドルしかないのに ついつい買い足しちゃったって感じです.
・・・見るからに おしゃれでしょ? Shakespeare 1975 ハンドルも純正で クリアの赤いノブ. スプールは青色.
アメリカ建国記念ってことで登場したモデル. たぶん日本国内では発売されなかったと思います.
MADE IN USA 派手なトリコロールカラーは生粋のアメリカンって感じ. ってか トリコロールってイタリア?
モデル名のシールは剥がれちゃってるし 傷だらけのボッコボコ. そんな個体なので 比較的お安く買えました.
綺麗な個体は お値段高め・・・ バンタム201SGに匹敵する市場価値. ニッチでコアなファンがいるリールです.
遠心ブレーキに対抗するメカニズム
名前が 「1975」 ってことは その年代に作られたリールだと思うんですが 調べるのが面倒くさい.
とりあえず 遠心ブレーキが装備されたアンバサダーの誕生後も 並行して売られていたと思います.
つまり 「遠心ブレーキがなくても使える」 っていうユーザーの所感があったから発売されていたんですね.
・・・なんか 不思議でしょ? 時代遅れのスタイルなのに.
その秘密が 実はメカニカルブレーキに隠されています. 「ディスクタイプのキャスコン」 びっくりした.
通常はスプールシャフトを両側から締めつける形で回転に負荷を与えますが その先端部は 「点」 に近い.
ところが このリールは 「面」 なんですょ. 金属の円盤がスプールと一緒に回転する. ドラグワッシャーみたいな.
たぶん 「静摩擦 & 動摩擦」 っていう考え方なんでしょおね.
静置されたものが動き始める時の摩擦は大きい. ところが 動き(滑り)始めれば 摩擦は小さくなる.
スプールが回転を始める時には大きなブレーキ効果が得られて ルアーの滞空中にはブレーキが弱くなる.
当時はシェイクスピア社のご自慢の技術だったかも. だから 遠心ブレーキなんて無用.
なので ベイトリールと同じ感覚で使えると思いますょ. わたしはこれで ルアーを投げたことはありませんが.
右ハンドルのリールでルアーフィッシングはできないので・・・ 利き手の右腕でロッドを持たないと 気持ちわるぃ.
・・・なんて いちいち書かなくてもいいですね. 嫌われちゃう
理屈は抜きにして 一目瞭然. 「かっこいい」 その一言に尽きる. 文句なし.
卵型(エッグシェイプ)のリールって 左ハンドルは少ないんですょ. 事実上 五十鈴さんのリールだけ.
かつては道楽のバイトマン. んで 五十鈴ブランドのBCシリーズとか OEMで スミスとかロベルソンとか.
安価に手に入る機会があれば この際 右ハンドルでもいいかなって・・・ そんな理由で.
エッグシェイプって レフト愛好家にはやっぱり遠い存在. どうせ遊ぶなら 大胆に思い切った選択で.
これまで何度か使いましたが・・・ オモリぶん投げには ちょっときびしぃところがある.
スプールの回転が上がり過ぎると メカニカルブレーキがすっぽ抜ける感じ. だから 調整が難しいんですょ.
締め過ぎれば飛ばないし 緩めすぎればバックラッシュ. その許容範囲が アンバサダーと比べて狭いっていうか.
さすがにオモリぶん投げを想定したブレーキじゃないかも. ルアーをキャストするよりも はるかに過酷な世界.
いっそのこと 中に磁石を仕込んでマグネットブレーキにしちゃうとか. その方が快適になったりして.
でも 遠投のスタイルになると 固定マグでは飛距離がすん詰まる・・・ 色々と試行錯誤をしている状態です.
固定式マグネットブレーキの困っちゃうところは 使用するラインの変更に対応できないんですょ.
ナイロン3号でセッティングを出して んで 6号に替えると全然飛ばなくなる. スプールの回転速度が変わっちゃって.
使うラインの号数を決めておけば済む話なんですけどね. わたしは気まぐれゆえに.
当初は投げ釣り用に考えていましたが 遠投カゴ釣りに使ったら 個性的でかっこいいかなって.
最近は 「気休め程度の磁石 + メカニカルブレーキ」 っていう組合せで 竿の振り方もできるだけ注意しながら.
・・・たとえブレーキのセッティングに苦労しても 使いたい理由があるっていうか.
スプールの回転フィーリングが なんとも言えないんですょ ちょっと独特. うまく表現できないけど.
完全な未体験ゾーンっていうか. かったるいフリして良く回る. 回転音も なんか独特. ディスクの回転音とか.
へんな金属音がするんですよね. でも 機械的なストレスをぜんぜん感じない.
ボディはむしろ重たくて頑強な印象です. そのくせスプールは軽やかに回る. そのギャップがなんとも言えない.
今まで味わったことのない感触なんですよね. わかる人にはわかる 不思議な感触.
一度 経験してもらえたら・・・ たぶんクセになる. なんとしてでも使いたくなる一台. 思わず買い足す欲求も.
シェイクスピアっていう会社は 今でこそ なんかよくわかんないOEMのリールとか幼児用のおもちゃタックルとか.
でもね 時代をさかのぼると ものすごくいい物を作っています. 特にフリースプール時代の名機の数々.
美しいとしか言いようがない. 興味がある方はご自身で探してみてください. オークションにも時々出てきます.
もし わたしが 右ハンドルでルアーフィッシングができたら・・・
ABUを全部手放して 「シェイクスピアのフリースプールのお姉さん★彡」 に なってもいいかも.
・・・まだまだ自分が知らない名機って たくさんある. 右ハンドル派の人におすすめしたいシェイクスピア.
その後もアルファとかシグマとか プレジデント. 一度は経験してみたいモデルがいっぱいあります.
右ハンドルを使える人が うらやましい・・・ レフト偏愛主義者を口惜しがらせる存在. つくづくそー思います.
わたしにとって 右ハンドルは 「使うための一台」 ぼろぃ個体をお安く買う・・・ いつもそんな感じ. 動けばいい.
Shakespeare 1975 Model DH
DHっていう記号が個体の製造年を表していたよーな. 調べるのが面倒くさくて ごめんなさぃ.
ネットを見れば詳しく書いている人もいると思うので 詳細は他の人におまかせ.
遠心ブレーキがないってことで クロダイ用の筏リールや穴釣り用に格下げしている人も. もったいない.
メカニカルブレーキをうまく調整すれば サミングしなくてもルアーを飛ばせると思いますょ. 使う姿がかっこいい.
その気になればナイロンの3号が200m以上巻ける. 6号を巻いて遠投カゴ釣りにも使えそうな一台.
巻上げスピードは 「5:1」 意外に速くて驚かされます. 当時としては文句なしのハイスピードモデル.
何よりも カラーリングや純正ハンドルの魅力. ただ 経年劣化で塗装が黄ばんだり もろくなっている個体も.
ぶつけたりすると 塗装が一気にボロっと剥げる. ネジ穴周辺もボロボロに. 気にしていたらキリがありません.
先日も竿が倒れてリールに傷をつけた. どっちみちボロボロになるんですから・・・ 気にしない.
Shakespeare 1969B Model EB
1975のベースモデル. Bはたぶんボールベアリングの意味で B記号の無い黒色モデル(1969)もあります.
ラインアラーム(クリッカー)を装備. 海釣りでの用途も広いかも. やっぱり筏釣りや穴釣りの置き竿用?
こちらも塗装がボロボロの傷だらけで お安く買えた一台. 予備機っていうか いざとなったら部品取り用に.
そんな日が来ないといいんですが・・・ 補修パーツが手に入らなかったら 結局は他の一台を犠牲にすることに.
構造がシンプルなので 滅多に壊れないと思うんですけどね. ただ レベルワインダーの丸い輪の部分が折れる.
そんな個体をオークションで何台か見ました. 買った人はどうやって修理するんでしょお. 溶接してるの?
わたしも溶接機が欲しいです. どれだけ心強いことか. ・・・って さすがに買いませんけどね.
Sears Ted Williams Ⅳ (535.311920 EM)
こちらもシェイクスピア1969がベースとなったモデル. シアーズ社のOEMで 野球選手 テッド ウィリアムスの名前.
「間違えて買っちゃった最初の一台」 ミリオネアの2500Cかと思ったんですょ. 全然ちがうけど.
星型のドラグホイールやヘンな形のハンドル. 思いっきり個性的で 一気にファンに. ちょ~かっこいい
お魚釣りが好きな 野球選手のテッドさん. 自分で釣り具やさんも開業したらしいんですが 詳細はわかんなぃ.
釣り具を売るお店を営んていだのか あるいは釣り具を企画するメーカー的だったのか. やがては廃業?
んで アメリカのシアーズ(デパートみたいな感じ?)に買収されて シアーズブランドのリール名に.
シェイクスピアやダイワのリールが テッドさんの名前で売られていました. 初代ミリオネアシリーズとか.
日本でも ダイエーが独自ブランド名で釣り具を販売していました. TOMとかファミレックス. リョービやシマノ製.
「くらしモア」 「トップバリュー」 あるいは 生協みたいな. スケールメリットを生かした量販での差別化商品.
町の小さな釣り具やさんを守るっていう意味もあったと思いますょ. 当時は共存共栄っていう考え方.
・・・間違えて買ったのに やがてわたしのツボにはまったシェイクスピアのフリースプール.
傷だらけでも ちゃんと動けば問題なし. じっくり探せば そんなお買い得物件に出逢えることも.
今まで知らなかったリールに手を出すのって いいですょ. お勉強にもなりますし. いろんなことを知る機会に.
投げ釣りを始めなかったら こんなリールには絶対に手を出さなかった.
新しい釣りを始めることは 新たな宝物との出逢い. 本当によかったと思います.
いろんな骨董リールが楽しめる ぶん投げ釣りの魅力・・・ ルアーフィッシングだけなんて きっとつまんなぃ.
kyasaren_abu at 23:00|Permalink│公開期間限定◆改装以前の記事