PLUS
March 13, 2015
ABU ambassadeur XLT & 521 LH PLUS & FLIPPING
左も機種を選べる時代に
1985年デビュー. 見た目はゴキブリ. ちなみにこのWebに記載しているアンバサダーのデビュー年というのは
あくまでもフットナンバーや分解図に記されたモデル登録年(初回製造年)のこと. どうかご承知おきください.
※ 必ずしも モデル登録年 = 初回製造年 ってことはないんですけどね. 「88-0 87-88」 みたいな例も.
日本国内での発売がいつだったのかっていうことになると 悲しいことにカタログを一切持っていないわたしには
知る術がありません. 85年っていえば わたしが生まれる前の話ですし・・・ っていうことにして.
ただ ” 手がかり ” はあるんですょ. 当時はリールフットの端に フットナンバーとは別に販売代理店が刻んだ
「発売年を示す刻印」 っていうのがあって. なのでXLTの日本国内でのデビューは たぶん翌年の86年.
でも この刻印にも例外的なパターンがあって 本当に国内での発売年(西暦)を示しているのか わたしには
確信が持てません. あくまでも 「ちまたの説」. 不充分なガセねたとして やがて転覆する可能性も.
なので ご参考程度に. 骨董リールの発売時期なんて 今となってはどおでもいい?
・・・本題に戻って. ウルトラマグが登場したと思ったら いきなり近代的な印象のXLTが登場.
当時のレフト愛好家さんは 怒らなかったんですかね? だって 必死にお金を貯めてウルトラマグを買ったら
翌年には早々に新型のXLTが出ちゃって. わたしならゲッソリって感じですょ.
「返品するから新型のXLTを寄こせ」 発売するのをわかっていたら ウルトラマグを買わなかったかも?
そんな風にユーザーの感情を損なわないように 当時の販売代理店(エビスフィッシング)は出荷時期の調整とか
なにか気の利いたことをしたんやろか? って思ったけど 残念ながら微塵もそんな気遣いはなかったみたいです.
むしろ 新旧っていうよりは別グレード的な考え方だったんでしょおね.
85年にはウルトラマグXLとXLTの両方を生産してる. 並行して発売されるのは ユーザーにとっては選択肢.
少数民族のレフト愛好家にも 「どっちが好き?」 っていう 機種を選べる嬉しい時代の到来.
でも XLTの発売当時のお値段は なんと48,000円. 結局は庶民のお財布事情を完全に無視した選択肢.
「どっちも買えねぇよ」 庶民派レフト愛好家さんたちの嘆く声が 聞こえてきます・・・ お金持ち優遇主義.
翌86年(日本では87年)の 「復活版5001C」 は ウルトラマグやXLTを買えない人たちのための復活かも.
ロープロ・アンバサダーに対する廉価版みたいな庶民向けモデルの印象もあって 余計にくそみそ扱いなんですね.
鍋型カップの5001C・・・ なにげでお洒落やねんけど. 山型リムのカップは当たり前過ぎて 飽きません?
グラファイト素材の幕開け
XLTが登場した80年代っていうのは そろそろ 「樹脂素材」 を積極的に使い始めた時期.
スピニングなんかでも グラファイト(カーボン)素材のスプールやパーツが活用されて まさに時代の変化.
成型の自由度が高く たぶんコストも安い. んで 金属製では出来なかったフォルムで付加価値も与えられ
販売価格を下げることなく利益率を高められる・・・ メーカーにとっては夢の素材.
もちろん庶民派のお手頃なモデルも作ることができるので 機種のバリエーションを広げられる.
ABUは日本製リールへの対抗策として やがて 「樹脂系アンバサダー」 みたいなラインナップを構築します.
んでね そのラインナップに独自のモデル名を与え XLTもラインナップに強引にぶっこんだんですょ.
樹脂系というよりは ” ロープロファイルambassadeur シリーズ ” っていうことだったんでしょおね.
そこで与えられた名前が 「ambassadeur 521」(末尾はリールサイズ) なんと 改名する事態になっちゃって.
時代の寵児っていうか XLTは名前を変えつつ度々マイナーチェンジを受けながら ロープロファイルの
主軸を担うモデルになりました. 他の樹脂リールとはちょっと趣が違うんですけどね.
ambassadeur 321 & 521 & 821 & 1021 & LITE 興味がある方は一連のモデルを自分で調べてください.
1021は右ハンドルだけですが 「異様にスイッチが多いバケモノ」 今でも世界一の操作系かも. 左が欲しぃ.
心が折れる多彩な遍歴
根拠のよくわからない数字のモデル名は たぶんファンには不評で やがて 「XLT」 という呼称を復活させます.
だたし 一連のロープロシリーズという考えは固持して 521という名前のお尻にXLTをくっつけた.
一方で レベルワインダーの仕様変更を中心にマイナーチェンジも行われました. 不良対策か製造原価の低減か.
結果的に XLTの遍歴がわけのわかんなぃことになっているんですよね. 把握するのが大変.
面倒くさいなと思いつつ わかる範囲でモデル名とバージョンをリストアップしてみました. 左ハンドルだけ.
【 XLT FLIPPING 】 ・ ambassadeur XLT FLIPPING 85-0 【 XLT PLUS 】 ・ ambassadeur XLT PLUS 85-0 ・ ambassadeur XLT PLUS 85-1 【 521 FLIPPING 】 ・ ambassadeur 521 FLIPPING 85-1 【 521 PLUS 】 ・ ambassadeur 521 PLUS 85-1 【 521 XLT PLUS 】 ・ ambassadeur 521XLT PLUS 85-2 ・ ambassadeur 521XLT PLUS 85-3 ・ ambassadeur 521XLT PLUS 85-4 【 ワイドスプール 522 】 ・ ambassadeur 522XLT PLUS 87-1 ・ ambassadeur 522XLT PLUS 87-2 |
これらを全部集めてWebに掲載したら偉い. 尊敬されます. わたしの代わりに誰か挑戦してくれませんか?
バージョンは 「-4」 まで行ってる・・・ 4回もマイナーチェンジしているんですね. ロングライフな製品.
たぶんね 最初はお金持ち相手の高級機でしたが やがて大衆機路線に転換したと思うんですょ.
高すぎて買ってもらえないからイメチェンを図りつつお値段を下げていった みたいな.
ウルトラマグXLから引き継がれたレベルワインダーのフローティング機構も その後はセンタリングタイプに変更.
最終的にはシンプルな固定式に落ち着いて. 興味がある方は分解図を見比べていただければ.
マイナーチェンジが行われた年とか最終製造年は 現物のフットナンバーを調べないと読み解けないんですょ.
その後に登場した 「XLTシンクロ」 と並行して たぶん91年あたりまで製造されたと思うんですけどね.
92年には いよいよ丸いアンバサダーのナロー版が登場しますから. それまではXLTが頑張った感じで.
スプール幅の広い左の522は流通個体が少ないレアもんです. 見つけたら即買い. 転売して利益が出せます.
「左の523もある」 わたしは見たことがないし Web上に図面もなさそう・・・ 実在すれば かなりのレア品かも.
ますます手に馴染まないロープロファイル
XLTになってから べろんちょ(サムバータイプのクラッチ)が肥大して ますますフィット感が悪くなった.
一層 「非円形」 って呼びたくなるよーな一台で 耐えかねて自分でべろんちょを削って整形する人も出てくる始末.
でも 521っていう名前が与えられてロープロシリーズの一員に組み込まれた以上は ABUとしてはロープロ扱い.
残念ながら 非円形っていう屁理屈言葉は死語の世界へ. アンバサダーの史的認識に乏しい人だけが使う言葉.
これから将来にかけてオールドアンバサダーのファンになる若い世代の人に非円形なんて言葉を使ったら
「なんだそりゃ?」 笑われますょ. 素直にロープロって呼べばいい. 時代に取り残されたじじぃ衆の悲しさ.
・・・たぶんね ウルトラマグXLのべろんちょの強度不足を懸念して こんな風に肥大したのかも.
実際に べろんちょが折れたウルトラマグを何台か見たことがあります. そう簡単には折れないと思うけど.
リールを落っことしたりとか いろんなケースがあるんでしょおね. XLTになって仕方なく肥大させられたって感じ.
使うロッドのグリップ形状によっては 本当に気持ち悪い感触かも知れません. でも 慣れないと. 根性で.
際立つヨーロッパの品格
丸いアンバサダーっていうのは その後のダイワのミリオネアの登場で 個性としての存在感が少し薄れた.
でもね ウルトラマグXL同様に XLTは 「独自感」 みたいなのがプンプン漂う. 類を見ないんですょ.
カローラみたいな日本製の優等生じゃない. いかついボルボ. まさにスェーデンっぽいっていうか.
ambassadeurの美学がそのデザインに凝縮されています. たくさん並べたら 「ゴキブリの大群」 ど迫力
右ハンドルのXLTは 不人気感がつのって中古のお値段も控えめです. この際 右でもいいから一台ご購入を.
現役で使う人がカッコいい. フィールドに持って行けば注目されますょ. 「なんかヘンなリールだ」 周囲がぢろ見.
「わけのわかんなぃマグネットブレーキがついてる」 そのお話は 次のページで説明しますから.
激しいモデル遍歴のXLTを全部制覇するなんて わたしにはとてもできません.
好きなのは 「85-0」 ごちゃごちゃしたフローティングタイプのレベルワインダーが搭載された最初のやつ.
85-1以降は樹脂製のレベルワインダーで 少しチープな印象になっちゃうんですょ. 一台で満腹みたいな.
実は右ハンドルのXLTも三台くらい持ってます. そのうちの一台は部品取りして捨てました. こわい性格.
ABU ambassadeur XLT FLIPPING 85-0
初期のフットナンバーには個体の製造年が記されていないんですね. 85~86年に作られた個体っていうことで.
発売当時を知る人たちの 「異様に高価だった」 という言葉が 現実の数字になってわたしの目の前に現れた.
箱に貼られた48,000円というシール. 驚きます. もちろんわたしは中古で購入. 一万円ちょっとだったかと.
赤いスプールは 右ハンドルの中古のXLTに装着されていたもの. スプール欲しさに購入してさっさと交換.
最初から赤いスプールのバージョンが発売されていたのかは わかんなぃ. もしかしたら予備として付属してた?
スプールが黒いとゴキブリ感が強くなってしまうので 華やかさを演出する赤いスプールを入手しましょお.
ため息が出るほど 独自の個性で 美しい・・・ 思いません? 「バンタムの対抗馬」 納得できる渾身の一台.
ABU ambassadeur XLT PLUS 85-0
「名前が違うだけ」 こちらはPLUS. 貼ってある名前のシール以外はFLIPPINGと同じです.
ちなみにFLIPPINGは日本国内での発売名ですが 海外でも地域によってはその名前が使われた可能性が.
まぁ どーでもいいことなんですけどね. 中古で買って まだ一度もお掃除していない・・・ ちょっと汚れてる.
国内に流通している並行輸入版のPLUSって 当時どこの業者さんが輸入したんでしょおね.
なにげで中古の流通個体数も多く かなりまとまった数で輸入されたのかも知れません. その方が安いから?
日本と海外での価格差って どのくらいあったのか・・・ エビスフィッシングが激しく上乗せ ボッタクリ商法?
今の時代だからこそ お安く買って楽しむ一台に. 発売当時にお高く買った人たちには 申し訳ないけど・・・.
ABU ambassadeur XLT FLIPPING 85-0
「日本一かっこいぃXLT」 赤いドラグがおしゃれでしょ? 中古で買った本体より ハンドルのほーが高かった.
ぶん投げ釣り用にポテンシャルが知りたくて一時はひっきりなしに使用していましたが 最近は隠居の身に.
ブレーキのセッティングがうまく出せなくて いまいち飛距離を伸ばせないまま. 赤いドラグも現在は他に移植.
おもりをかっ飛ばすスタイルにも XLTのブレーキは向いていると思うんですが. いつか改めて再挑戦.
ルアーフィッシングでもブレーキのセッティングに戸惑う人が多いはず. メカニカルブレーキを併用しちゃったり.
特に中古の個体は前のオーナーさんがいぢくっちゃっているんですよね. 詳しいお話は また後ほど.
ABU ambassadeur XLT PLUS 85-1 87-88
レベルワインダーの仕様が変わった最初のモデル. 雰囲気が変わりますよね・・・ 好みが分かれる.
85-0と同様にフローティングタイプですが メンテナンスを怠ると動きが悪くなる. 経験者も多いはず.
しかも部品が小さくって 内臓のバネをいつのまにかなくしたり. ありがたいことに わたしはまだ未経験ですが.
ドラグホイールやハンドル形状の変更など デザイン的には欧米市場の嗜好を意識している感じ.
一連のロープロシリーズの流れで やがてこれらのパーツが知らん顔して丸いアンバサダーにも流用されます.
XLTにはなかなかマッチしたドラグホイールですが 復活版の5001Cに装着されると不気味扱い. 当然ですょ.
ヘタな生産効率の追求が仇となる. 丸いアンバサダーの人気も堕ち始めた頃ではないでしょおか.
80年代の後半は アンバサダーの多様な個性が開花したと同時に 賛否の声も多かった時代. そーでしょ?
リールフットには85-1って書いてあるのに 装着されているハンドルやドラグは85-3みたいな?
なんかよくわかんないですね. 分解図のいい加減さも実は80年代の特徴. 気にしないで無視するのが一番.
「内部メカニズムのこと」 横着しちゃって 写真をついつい出さずじまい. ごめんなさい.
photoギャラリー の方に リール内部の写真を少し載せておきますね.
今さら興味がある人がいるんだかって感じですが・・・ 基本メカニズムはウルトラマグXLと同じです.
何かわからないことがあれば 遠慮なくわたしのブログにご質問を. 心無いお返事をすることもあるけど.
右ハンドルのアンバサダーは機種の選択肢が多い中で 「XLTには興味ない」 みたいな人も.
中古のお値段も低迷気味で 右のXLTはむしろ不人気モデル. 発売当時の価値や価格なんて完全無視.
そんなXLTの赤いスプールの右モデルを安く購入して 左のXLTを充実させるための部品取り.
レフト偏愛主義者にそんなことをさせないよーに 右派の人もXLTを買って欲しいんですけどね.
赤いスプール欲しさに レフト愛好家にバンバン狩られる安い右ハンドル・・・ 泣けてくる. わたしは 3台狩った.
オールド・レフト創生期を彩ったXLT. 右派の人にはわからない価値が 左のXLTには凝縮されています.
kyasaren_abu at 00:00|Permalink